前回に続きサブスプリクションマーケティングについて。
顧客が顧客となった際、顧客が購入の時のモチベーションを保ってサービスを円滑に利用するためには、顧客がサービスの価値を最大限理解して活用できるよう「ローンチプラン」を提供することだ。人は、誰しも自分の下した決断に対して最もらしい証拠を集めるという「確証バイアス」を持つ。後悔しないように、自分の選択が正しかったという証拠を見つけたいのだ。そのため、早期のうちから顧客に対して期待通りの価値を顧客へ提供し、その選択が正しかったという証拠を示すことが大切だ。そこで重要なのが、「オンボーディング」。つまり、新規顧客に手ほどきを行い商品・サービスを慣れさせるプロセスを組み込むことである。そうすることで、顧客はサブスプリクションサービスの利用が賢明な判断だったと確認する。顧客に正しい印象を与え、次のステップに問題なく進めるようにしてあげるのだ。
さらに、サブスプリクションを利用する顧客の価値体験を最大化することで顧客が他の人に推薦し新たな見込み客を生み出すことがある。そのような、顧客の中にいるファンとアドボケイト(ロイヤリティの高い顧客)を育てるのが「アドボカシーマーケティング」である。顧客→ファン→アドボケイトへと変換させていき、これまでの信頼を損なうことなくファンとアドボケイトに真の価値を与えていくことが求められる。そのような人を探しだすには、下記がポイントになる。
①サービスをよく利用している
②SNSでよくコメントをする
③新機能が追加されるとレビューを残す
④多数のユーザーに影響を及ぼす
上記のような人を見つけ、積極的につながっていくことが大事になる。つながるというのは、その人の行動に対してこちらから歩み寄り感謝の意を伝えること。それによって意図しない場面でサービス側から感謝されたファンは好意的な印象を持ち、そこに関係性ができるのだ。
また、キャンペーンを打つ際は顧客の力を借りることを検討すると良い。サービスの価値観に基づき、顧客参加型のキャンペーンをすることで顧客との間に繋がりを作ることができる。
上記で述べたアドボカシーマーケティングにつながる部分ではあるが、今日では、SNSの普及により口コミによる見込み客の創出が重要になってきている。なぜなら、その広がりの速さと口コミによるマーケティングは基本的にコストがかからない上に獲得コストが低くすぐに顧客になるパターンが多いからだ。そういう意味では、サービスの価値を顧客にうまく伝え価値の育成に成功することの成果として口コミによるマーケティングが現れる。
そこで重要になる価値の育成には4つの基本ルールがある。
①価値の育成はまず顧客から。
価値の育成は顧客の視点に立つことから始まる。サブスプリクションモデルでは、「未充足マーケティング」という何かが足りないという思いによって購入を満たすことができるという考えは機能せず、「エンパワーメントマーケティング」という顧客を成長、成熟へと導くような顧客を中心に据えたマーケティングが良いアプローチだという。主役はあくまでも顧客であり、サービスによって顧客はどのように成長、できるのかを考えることが価値の育成につながる。
②人間的に。しかし一貫性を大切に。
顧客は機械的な回答を求めていない。人間的な温かみのあるつながりを求める。顧客への対応の仕方に気をつけなければいけない。また、顧客は会社を1つの存在と認識しているので、1つの問い合わせに対して部署間をたらい回しにしてはいけないしそれぞれが異なる説明をしてもいけない。一貫性が大切である。
③誤りはスマートに処理する。
度々サービスに対して苦情をもらうことがあるかもしれない。その時は、イラっとするのではなくむしろ感謝しないければいけない。苦情は顧客からの大事なフィードバックである。透明性の高い近年では、顧客との言い争いがすぐに明るみに出てサービスの価値を下げることにつながる。顧客からの苦情が受け入れ改善策を立て顧客と円満な関係を築いていかなくてはならない。
④つきまとわない。
ビックデータの活用など近年では顧客の行動データが簡単に取れ利用できるようになった。しかし、顧客のデータを安易に顧客伝えると「なんで知ってるの?」とキモチ悪がられる場合もある。顧客のタイプに合わせて、行動データを取らないという選択肢も頭に入れた方がいいだろう。
最後に、
・自由な創造性は働かせることでより多くの人と繋がり会社のため顧客のために価値を創造することができる。
・従来の考え方にとらわれない発想をすることで顧客に大きな影響を与えられる。
・顧客との関係性ができることで、顧客は会社の価値観を理解したいと思い始める。その時に大事なのは何よりも自社の価値観が何なのかを自分自身が理解することである。
・顧客と価値観を共有するということはとても有利な立場に立つことである。